てるみくらぶの不可解な「現金一括キャンペーン」から見る意外と知られていない企業破産の条件
今、一番ニュースの賑わせて旅行代理店「てるみくらぶ」についての投稿です。
皆さんてるみくらぶのニュースで下記についてご存知でしょうか。
ぎりぎりまで、現金一括入金キャンペーンを実施し、新聞広告で告知を行っていたとのことでした。
「破産直前の企業が何で新聞広告を打ち、キャンペーンをやっていたのか」
疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実はてるみくらぶの行動は非常に合理的且つ、戦略的なことなんです。(許されることでは当然無いですが。。。)
なぜ、合理的な戦略なのでしょうか。それは、企業が倒産する条件と関わってきます。
企業が倒産する条件って?
企業が倒産する条件って皆さんご存知でしょうか。
・売上が下がっている
・利益が下がっている
・赤字になった
・借金(有利子負債)が多い
といった理由で、経営状態を表すことが多いですが、上記の理由だけでは倒産はしません。現に、売上や利益が下がっている企業なんて星の数ほどありますし、
赤字が1兆円と報道されたTOSHIBAもまだ企業として存続しています。
また、日本有数の大企業であるソフトバンクの借金(有利子負債)は12兆円で、てるみくらぶの何千倍も借金しています。
では、どんな時に企業は倒産してしまうのでしょうか。
端的に言うと、「借金が返せなくなると倒産」になります。
分かりやすい例で紹介します。
▼モデル例
企業名:A社
売上:年間10億円(毎年20%成長している)
利益:年間1億円(前年比10%成長)
現在(2017年3月29日時点)持っている現金及び預金:2,000万円
月々(月末)返さなくてはいけない借金:5,000万円
上記の企業は、売上も利益も前年比で成長していますが、このままでは
倒産となってしまいます。
なぜなら、5,000万円返さなくてはいけないのに、2,000万円しか手元に現金化できるものが無く、返せないからです。
このように、現状、黒字成長している企業であっても、返済義務がある借金を期限内に倒産してしまう企業も中にはあります。
逆に、先ほど例に挙げたソフトバンクは借金が12兆円ある一方で、2,000億円以上現金化できる資産を常に確保できています。
そのため、直近で返さなくてはいけない借金については、しっかりと返済出来ているため、セーフとなります。
上記を基に、なぜてるみくらぶが直前まで広告を打って「現金一括キャンペーン」を実施していたのでしょうか。
▼現金一括キャンペーンを実施していた「てるみくらぶ」の狙いとは?
てるみくらぶが破産申し立てを行った理由は「債務超過」になります。
先ほど挙げた通り、借金が返せなくなってしまったんですね。
その直前まで、てるみくらぶは「現金一括キャンペーン」を実施していました。
キャンペーン内容は「○○日までの旅行代金を支払ってくれたら、割引」といったもののようです。
なぜこのキャンペーンをやっていたか?
企業の倒産する理由を説明した後なら分かると思いますが
直近で支払わなくてはいけない借金を返すため
です。
そして、返済できなかったため、破産申告を行ったと。
こちら、倒産のリスクが極めて高かった事を知りながら、直ぐに払えば割引するといったキャンペーンを実施していたということで非常にタチが悪いのですが
てるみくらぶとしては、直ぐに現金化できるお金をかき集めたかったんでしょうね。
クレジットカードで支払うと、直ぐにお金が入ってこないですし。
▼金が無いのに、新聞広告を積極的に打てた理由?
また、現金が無いにも関わらず、新聞広告を積極的に打っていた同社ですが
こちらついても、恐らく30日サイトでの後払いだったのではないかと思います。
(3月掲載分を4月に支払う後払い形式)
広告媒体側(及び広告代理店)としても、後払いだと媒体費用を回収できないリスクが生じてしまうことを浮き彫りにした怖いニュースだなと思いました。