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冷静にテレビ業界の現状と今後について考えてみた〜Vol.1〜

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はい。ゴットタン大好き、テレビ大好きです。
よく言われる事があります。スマホの普及でテレビは観なくなった。

将来テレビ業界は危ないし、なくなるだろう。

 

「本当にそうなのか?」

「何故そう言われているのだろうか?」

「仮に無くなるとしたらいつなのか」

 

冷静に考えて見たいと思います。

※いくつか使っているグラフがありますが、

電通の「日本の広告費」 

http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/

 

博報堂の「メディア環境研究所」

http://mekanken.com

のデータを資料に使いました。

 

アジェンダはこんな感じ 

1.テレビ業界の広告市場の今と今後
2.テレビの視聴率ってどうなっているの?
3.テレビの視聴時間について
4.現状についてのまとめ

 

それではいきましょう。

 

1.テレビ業界の広告市場の今と今後の予測について

下記、電通が報告している「日本の広告費」情報を元に
総務省がまとめたグラフを使いました。

2008年〜2016年におけるテレビ広告収入のグラフになります。

  

上記グラフは年間のテレビとラジオの広告収入をグラフ化したものになります。

上記から読み取れる、テレビ広告費については傾向は下記の通りです。
⑴2008年から20009年にかけて広告は純減を始めている
⑵2009年をピークにテレビ広告費は微増を続けている(かほぼ横ばい)

⑶ヤバいヤバい言われているけど、広告収入自体はそんなに減っていない(むしろ直近は微増している)
となっています。

ちなみに、平成21年(2009年)はリーマンショックが発生した翌年で、世界的に不況の影響を引きずっている1年でした。

右肩上りで増えているインターネット広告ですら、前年比101%でほぼ横ばい
だったこともあり、2009年は各企業広告宣伝費を減らした一年だったと言えます。

 

広告収入はそんなに減ってない事が分かりました。

ただ、テレビを観る人が減っているのであれば、今後広告収入が減っていく事が予想されます。

何故なら、テレビを観る人が沢山いるからこそ、企業はテレビに対して何億円ものお金を支払い、広告を打つからです。

なので、次にテレビの視聴率と視聴時間について細かく見ていきたいと思います。


2.視聴率ってどうなっているの?


次に視聴率についてです。

 


上記グラフは博報堂のメディア環境研究所の調査結果を出典としております。
チャンネル別ではなく、全体として「テレビを観ている人の総数」の推移を2012年から図にしたものになります。


6時〜24時と19時〜23時まではそれぞれ全日とプライムタイムと呼ばれ
全日:6時〜24時までの人が起きている間の時間を表す指標
プライムタイム:19時〜23時までの一日で一番テレビが観られるであろう時間を表す指標
となり、テレビ視聴率の指標としてよく使われます。


グラフから明らかなのは、2012年からプライムタイムは視聴率が減少傾向にあり
全日は「ほぼ横ばい」である事が分かります。
ここから分かるのは

⑴全体としてテレビを観ている人の割合は横ばいで変わらない

(全日の視聴率が減っていないため)

⑵一方で「一番視聴率が高い時間にテレビを視聴している人が過去5年間で多少減っている」可能性がある

事が分かりました。

 

こうしてデータで見ると、やっぱり未だにテレビの人気は根強いんだなと

すごく思います。


次に、「一人当たりのテレビ視聴時間」について見ていきます。


テレビのメディアの価値は
「総視聴時間」=「視聴者数」×「一人当たりの視聴時間」で測られるべきで
仮にテレビを観る人が半分になっていても、「一人当たりのテレビを視聴時間」が3倍になっていれば
テレビの価値は以前より増していると言えると思います。
逆に沢山の人が利用していても、一瞬しか観ていないメディアにはあまり価値がない可能性があります。
※Abema TVはその辺りが曖昧なため、一人当たりの視聴時間の発表も今後してほしいなと思っています。

 

そのため、テレビ視聴時間は非常に重要なファクターとなりえます。
それでは、テレビの視聴時間についてはどうなっているのでしょうか。

 

 

3.テレビの視聴時間について


視聴時間についても博報堂のメディア環境研究所のデータを参照しました。
「テレビ」、「ラジオ」、「雑誌」、「PC」、「スマホ」などのメディアにおける一日あたりの接触時間を2006年から取得しているデータになります。「メディア定点調査2017」の画像検索結果

 

 

テレビについては、上記グラフの赤字の部分になります。
視聴率と併せて比較しやすいように、2012年以降の数値をみてみましょう。

 

2012年:161.4分

2017年:147.3分

ということで
微減傾向にある事が分かります。

 

それよりも少し脱線しますが、非常に重要な事実として

スマホ以外のほとんど全てのデバイスの利用時間は大きく変動していない

タブレット分が加わった影響でPCの利用時間は多少減っていますが。。。

スマホ分の利用時間が非常に伸びているが伸び分は、「他デバイスに取って代わって増えたものではない」

⑶2017年になって初めて、メディア総接触時間が現象に転じた

という事実です。

 

家帰ったらテレビはテレビで見るし、通勤時間や休憩時間にスマホはいじるよって感じの人が増えてきているのかなと思いました。

一方で、2017年度はこういったメディアに囲まれている状況に対して違和感を感じてそういった環境から離れてしまった人も増えてきている兆候が見られることがわかりました。

 

では、2017年で減少したテレビ視聴時間について

年代別で「誰がよくテレビを観ていて」、「誰がテレビを観ていないのでしょうか」
下記がメディア別での性年代の視聴時間比較してみることにいたします。

2016年と2017年の比較を行います。

 

【2017年性年代別メディア接触時間】

 

「メディア定点調査2017」の画像検索結果 

【2016年性年代別メディア接触時間】「メディア定点調査2016」の画像検索結果

 

それぞれのデータを比較すると下記のことがわかってきます。

・男性全体平均のテレビ接触時間は133.8分で横ばいだった。

→女性のテレビ接触時間が減ってきている。

・女性の10代、20代、40代、60代のテレビ視聴時間が顕著に減っている
・女性10代、20代については、メディア接触時間自体が大きく減少している

事が分かりました。


若者(10代)のテレビ離ればかり目が行きがちですが
女性「10代」と「20代」については、スマホの接触時間についても1割〜2割減っているのは面白いデータかなと思います。

 

 

4.現状についてのまとめ


・広告費については、微増or横ばい
・視聴率については、プライムタイムで微減 =「テレビを観ている人はちょっと減っているかも??」
・視聴時間についても、微減 =「一人当たりのテレビに接触する時間は少し減少している」
・誰のテレビ離れが進んでいるかというと、女性の10代、20代、40代、60代のテレビ視聴時間が顕著に減っている事が分かりました。


ただ、ここからみると、世間で騒がれているほどテレビがヤバい印象は受けませんでした。特に2017年まではテレビの視聴率も視聴時間も横ばいで大きく変化しておりません。

また、2017年に視聴時間が減少しましたが、これはメディア全体として同様の傾向があったため、テレビだけここまで危機感を煽られる要因にはなり得ないかなと思いました。

 

次回は「テレビの危機」が具体的にどんなところで「なぜ」迫っているのかについて深掘りして考えてみようと思います。

 

 それでは、ありがとうございました。